今更ながらシンゴジラの感想を書き連ねていこうと思います。
シンゴジラ、滅茶苦茶おもしろかったです!
庵野総監督、樋口監督お二人のファンなのですがお二人の魅力が存分に発揮された映画だったのではないでしょうか。
タイトルにも書いた通り
平成ガメラシリーズ(樋口さん代表作)
は僕の中で最も好きな作品の一つです。
しかし、不満もあります。それが
エヴァンゲリオンシリーズ
エヴァンゲリオンシリーズについてはトップをねらえ!不思議の海のナディアの庵野さんとは思えない無茶苦茶なもやもやする終わらせ方。
ガメラ3は最終盤の大量に飛来するギャオスに日本の自衛隊が陸海空、全総力をもってこれに対処する。という胸熱な、それでもって俺たちの戦いはこれからだ的なもやもやする終わり方でした。
なので僕はこの二人にずっともやもやさせられていたのですが、このシンゴジラを観て僕は感激しました。
シンゴジラはまさにゴジラであり、トップをねらえ!であり、ガメラでした。文句なしの完璧な作品だったといえるでしょう。
僕は初代ゴジラ、84ゴジラも見ております。そして、このシンゴジラは初代ゴジラのように、初めて出現した怪獣にどう対処するかをとことん突き詰めて描いた代物でした。そして、リアリティをとことん追求していた。これがなにより素晴らしい。
初代ゴジラはゴジラという怪獣そのものが人々の想像にもなく、この世界にとっても映画の中の世界にとっても初めての怪獣でした。これにおののき恐怖しながら人類は立ち向かうというものです。
ところが84ゴジラは初代ゴジラの延長線上の世界であり、ゴジラに対する経験があり、対処するノウハウをもっていました。そのためスーパーXのようなとんでも兵器をうちだし、運用することができました。
しかし、シンゴジラはこれらの世界とは異なります。最初の対応で主人公の矢口が海底トンネルの事故を巨大生物の可能性ではないかと説きましたが、首脳陣はかたくなに巨大生物の可能性を拒否します。これはシンゴジラの世界がゴジラのような怪獣を描かれてこなかった世界、見ている側も初代ゴジラと同じ世界だということがよくわかります。むしろあの状況下で巨大生物の可能性を考える矢口が化物です。
石破元防衛大臣が防衛大臣時代に、もし、現在の日本にゴジラが出現したら自衛隊に防衛要請をするのか災害派遣要請をするのかと考えたと仰っております。このような想定そのものが全く考えられなかった世界、怪獣映画などもなかった世界というのが序盤の様子でわかります。それだけでこの映画は素晴らしいものになるなと推測できました。赤坂先生が情報のないなか政府はよく対応してるよと焦る山口に諭しますが、全くその通りだと感じました。
ところで、ゴジラのような怪獣の対応はそう多くはありません。
- 超技術での対応(オキシジェンデストロイヤー、スーパーXによるカドミウム弾)
- 人類側の超怪獣による対応(ガメラシリーズ)
- 核による滅殺
- 努力と根性による理論を超越
大体の特撮ものはこの解決方法でしょう。
序盤のシーンで超技術による解決はないことが伺えます。さらにゴジラ第二形態の搭乗時は超怪獣の出現も考えられました。が、進化した段階でそれも消えました。また、通常兵器での攻撃が通用したであろう第三形態への攻撃もできませんでした。もう残される手は核しかないという完璧な描写です。
さて、第四形態の自衛隊の総力戦もこれまた見事でした。ガメラ2の巨大レギオン戦を越える描き方です。戦車大隊から富士のミサイル攻撃、F-2による爆撃と、まさに陸海空全総力を結集した戦闘でした。僕はこの映像を何年まったことでしょう。さらに恐らく空自は撮影許可のために戦闘機を撃墜させてはならないという条件付きのはずです。そのためガメラ3ではニュータイプもびっくりのスペシャル回避機動を見せます。今回の空自の動向も気になりましたが、撃墜される役目を米軍のB-2が引き受けました。空自が撃墜されることなく、ゴジラの驚異をうまく描いていたことも素晴らしい点です。
さて、ここでB-2を撃墜したゴジラ第四形態の熱線についてちょっと喋ります。ゴジラの熱線といえば青色が基本でした。が、今回は紫色に変わっておりました。何故元々青色かは放射性物質の崩壊に伴うチェレンコフ放射に基づく色、ということだったのでしょう。しかし、311を経験した現実の日本には放射能を撒き散らす青色の熱線の描写は今の日本にはあまりにもリアルすぎて描くわけにはいかないでしょう。また、紫という色は高貴さを表しますのでゴジラを神と形容したガッジーラ的なイメージにも会っていました。
僕はこの熱線のシーンはワクワクし、恐怖しました。特にゴジラの背ビレが紫色に光り出すあたりは変動重力源、宇宙怪獣のクレフシン発光を彷彿とさせる演出であり、心の底から恐怖が涌き出るようでしたワクワク。その後、熱線を口が予想外に開放し攻撃するシーンはトップをねらえ2!のタイタン変動重力源に狙われたディスヌフとラルクのような心境、現代技術ではなにもしようもない、絶望感にうちひしがれました。初代ゴジラの円谷さんはキングコングを見たとき、あまりの衝撃に手に持ったパンフレットを握り潰したといいます。そこで自分もそんな映像を作りたいとゴジラを作ったそうです。結果は大成功。当時の人もみなパンフレットを握り潰したそうです。僕もこのシーンを見たときに手を握りしめました。心のパンフレットはグシャグシャでした。
最後に、ラストの尻尾の骨のシーンについてです。
映画の一番最後にゴジラの尻尾に人ほどの骨が映りました。これは小型の飛翔型の群体ゴジラでしょう。ガメラ2の群体レギオンのようなものだったのではないかと予想されます。もし、ヤシオリ作戦がほんのあと1日遅れていたら、核の使用があと半日遅れていたら尻尾の先から群体ゴジラが全世界各地へと飛びたっていたことでしょう。そうなれば全世界各地で核の使用をせざるを得なくなり人類はゴジラに滅ぼされるか、核の炎による相討ちに持っていくかという、どちらを選んでも人類は滅亡寸前の状態になります。それだけのギリギリの闘いであったということがラストカットで余韻としてこの映画を強調して締めくくられます。
本当にラストまで文句なしのゴジラでした。最初に書いたようなモヤモヤ感も全くありませんでした。
長くなりましたがこの辺で締めくくります。
それでは今日はこの辺で。